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「滝くんだよね?今、ちょっといい?」



放課後を待った私は、意を決して声を掛けた。



008:ともだちのわ










さん?どうしたの?」






結局あれから私が出した結論は、これから跡部景吾と(嫌でも)関わることになる人物に託す、と言う方法だった。


その中でも同じクラス、且つ原作でテニス部レギュラー(後に準レギュラー)な滝萩之介くんに白羽の矢が立ったのだけれど。


なんて言うか、滝くん疲れてません?


でも横にテニスバッグがあるから部活には顔を出す気でいるはず。


少々心配だけれど、本題を切り出す。








「滝くん、テニス部だったよね?ちょっとお願いがあるんだけど…」






うん。今一瞬口元が引き攣ったよね。


きっと女の子からよく跡部景吾関連の頼まれごとをされるんだろうな。


ある意味私の頼みごとも跡部景吾関連なんだけど。


ここが勝負どころだ。拒絶の言葉を紡がれる前に一気に畳みかける。







「このファイル。榊先生に跡部景吾に渡すように言われたんだけど、部活で会った時に渡しておいてほしいの。」






まずい。フルネーム呼びが出てしまった。


取り敢えず、他の女の子に聞かれていないことを確認しながらも、有無を言わせずファイルを手渡す。


滝くんは私の勢いに押されてか、戸惑いながらも頷いた。


よし。確認はとった。






「ありがとう。それじゃ、よろしく!また明日ね!」






呪いのファイルの重圧から解放されて、テンションが目に見えて上がった私は実にいい笑顔で教室を後にした。




























「じゃあ、入部届けは明日でいいから。」






意気揚々と教室を後にして、現在私は茶道部部室におります。大変美しい姿勢で私の対面に座っていらっしゃるのは二年生の桂木那智先輩。


見学のつもりで行った茶道部なのに、なぜか私の入部がとんとん拍子に決められていく。


あれ?私一回も入るって言ってません。







「うふふ。安心して?茶道部は在籍している生徒の殆どが幽霊部員だから。別に部活に来るのを強制したりしないわ。」






入部は決定事項ですか。


そう思ったけれど、那智先輩(そう呼ぶように言われた。)の輝かしい笑顔の前では何も言えなかった。


ぶっちゃけ、美人さんは目の保養になるので仲良くなれれば嬉しい。


それに、彼女は跡部景吾崇拝者じゃないので一緒にいて気が楽だ。


(久しぶりに女の子とまともな会話をした気がする。)



























その日の夜、光に電話で茶道部に入部する事と先輩が出来たことを報告して、上機嫌でベッドに入った。


跡部景吾は上手く回避したし、この調子で女の子の友達増えればいいな。


なんて、久々に学校へ行くのを楽しみに眠ったのだけれども。
























「よろしくね、さん。」









昨日の選択を今ほど後悔したことは無い。


あの時、妙な同情心を出さずに跡部景吾と同じクラスの男子に頼めばよかった!!!


何の因果か席替えで隣の席になった滝くんにニッコリ微笑まれて、怒涛の自己嫌悪ラッシュに襲われた。


しかもこんな時に限って窓際の一番後ろとか!前の席の子が休みとか!


逃げ道が何処にも無い!!


別に滝くんとは良き隣人でありたいとは思うんだけど。


如何にも興味津津です、みたいな顔されるとどうすればいいのかわからない。


辛うじてよろしく、と返して視線を逸らしたのだけれども。







さんは跡部に興味が無いの?」










いきなり直球ですか。


そんな大人しそうな顔して男前に真っ向勝負を仕掛けるのか。







「どうしてそんなこと聞くの?」




「跡部のこと、嫌い?」




「好きも嫌いも接触したことの無い人物を噂だけで判断することは難しいでしょう?」




「じゃあ、昨日のは接触するいい機会だったんじゃない?」






しつこい。


それに、わかっててやってる。


人間の本音を聞き出すには怒らせるのが一番手っ取り早い。


滝くんは私が跡部を避ける理由をわかっていて、敢えて私の口からそれを言わせようとしている。



だけど私は決して表に出さないだけで、これでも相当な負けず嫌いだ。


絶対にこっちからは折れてやらない。







「同じクラスに確実に跡部くんと会うテニス部の滝くんが居たんだから、頼むのは可笑しい事じゃないでしょう? それに、こんな事聞いてどうするの?」



暗に『あなたには関係ないでしょ』と嫌味なほどにニッコリ告げて(実際嫌味だ。)これで終わりのはずだった。










「それは俺がさんと仲良くなりたいから。それじゃ、ダメ?」










そう言った滝くんは一瞬、眉根を寄せて、困ったようにへらり、と笑った。


思いも寄らない言葉にどう反応を返せばいいのかわからない。


けれども胸の内にじわじわと広がる感情は決して不快ではない。







「改めまして、滝萩之介です。よろしくね、さん。」


























こう言う時はやっぱり一番頼りになるのは産んでくれた人たちで。







「しゃあないで、ちゃん。そんぐらいの男は好きな子ほど苛めたくなるモンやねん。」




「ええやん。友達になったんやろ?」






夕食を食べながら、今日の『食えない滝萩之介』の話をすると、両親から帰って来た反応は見事にプラス思考だった。


けれど、仲良くしたいと言ってくれたのは確かだし。







「明日、ちょっと話しかけてみようかな。」






もしかしたら、仲良くなれるかもしれないし。


期待した女の子じゃないけれど、友達は友達だ。

























Reflection


あともう一話、キャラとの出会いを書けば、土台ができあがります。

早く日常が書きたい!!



REPLAY
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