予想していなかったわけでは無いけれど。
あれから私はそれはもうすくすくと成長しました。
赤ん坊の成長速度の目安など知らないけれど、きっと恐ろしい早さだったと思う。
それでも、両親は気味悪がったりせずに相変わらずベタベタに甘やかしてくれて。
そんな私も今日で二歳。
去年は両親だけで祝ってくれたけれど、今年は伯父さん夫婦も来てくれるそうです。
実はこの伯父さん夫婦と会うのは初めてと言ってもいい。
なんせ、乳児は一日の殆どを睡眠に費やす必要があるので、伯父さん達が遊びに来てくれた時は大抵眠っていた。
それでもここ一年位は大分起きていられるようになったのに、今度は伯父さん達が訪れてくれなくなった。
お母さんが美人だから、お母さんの兄である伯父さんもきっと美人さんに違いない。
前髪にぱっちん留めを留めてもらいながら、そんな事をつらつらと考えているとチャイムが鳴った。
「久しぶり。大きくなったな。」
何というか、想像以上に素敵でした。
伯父さんは切れ長の目が印象的なモデルと見紛うばかりの美男子。
伯母さんは仕事の出来そうなサバサバした美人さんでした。
けれども、そんな二人の美形オーラよりも何よりも気になるのは伯母さんの腕に抱えられているもの。
もしかしてもしかすると。
「ちゃんは初めて会うんやんな。この子はうちの子。ちゃんよりひとつ小さいねん。」
うん。そう言って赤ちゃんの手を振らせるのは可愛い。可愛いよ?
だけど聞き捨てならないセリフがありました。
ずっと気になっていたこと。
どうやら私の転生先はスポーツ漫画だったらしい。
『財前光』と言えば『テニスの王子様』で大阪の四天宝寺中学のテニス部として登場する。
二年生にしてレギュラー、二つ名は『天才』。
三年生相手にも平気で毒舌を吐く生意気な男の子。
正直に言うと、少し怖かった。
自分の知っているキャラクターに会って、自分の来た世界を知ってしまったら、私はどうなるのだろうと。
不安に思わないわけがない。だって私は本来なら知らない筈のことも知っている。
けれど、今日実際に『財前光』に会ってみて認識は変わった。
ピアスも空いていないし、テニスもしていない。
小さな赤ん坊。私の従弟。
大丈夫。
この子とは今日から新しい関係を築いていける。
そんな意味も込めて小さな手を握る。
柔らかく握り返して来る感触に思わず頬が緩んだ。
「めずらし。光がわろとる。」
「二人ともめっちゃ可愛いな!写真撮ろ!しゃしん!」
静かにそう言った伯父さんとは対照的に嬉しそうにカメラを取りに行った父。
なんでだろう。成人した男の人(しかも父親)を可愛いと思う日が来るとは思わなかったよ。
お母さんは苦笑しているけれど、伯父さん夫婦は微笑ましそうに見ている。
「はじめまして。なかよくしてね。」
そう小さく呟いた言葉は、従弟へ向けてでもあり、この世界へ向けてでもある。
決意は固まった。
第二の人生楽しめそうです。
Reflection
従弟は天才財前くんでした。
一言も発してないけれど。(赤ちゃんだから仕方がないよ!ね?)
次からはちゃんと喋ります。
早く中学生にしたいなぁ。
REPLAY
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