新学期。
今年こそは、と思ってたのに潤ともともクラスが離れてしまって、私は跡部くんのいるA組になった。
案の定、周りの女の子たちは浮かれ気味で、毎日のように跡部くんの方を見ては頬を染めている。
そりゃ、確かに跡部くんは家柄も良いし、顔も良いし、カリスマ性もあるけれど、純粋に顔のつくりだけで言ったら潤だって負けてないと思うんだけどなぁ、というのはカノジョの欲目だろうか。
C組に来た噂の編入生だって、確かにイケメンだったけど、無愛想だ。(潤も基本的に無表情だというのには目を瞑る。)
そんなことを考えながら過ごし始めて一週間。
「実は、このクラスにも編入生を迎えることになった。」
それは、あまりにも突然だった。
まさか、新学期が始まって一週間で二人も編入生が来るなんて。
珍しいなぁ、と思いながら眺めていると、入ってきたのはとんでもない美少女だった。
も美人だけれど、の綺麗さは好みの分かれる綺麗さ。
けれど、この子の可愛らしさはまるで作り物のように完成されていた。
不安そうに、だけど控えめに微笑む姿に、教室中がどよめく。
とっても、可愛い。
けれども、どこか好きになれないのは、私の性格が悪いからだろうか。
なんだか嫌な感じがして、可愛い子やきれいな子が大好きな私としては珍しく、あまり仲良くなりたいとは思えなかった。
なんだか、関わらないほうが良い、という予感がした。
うたうようなソプラノで告げられた自己紹介の内容によると、彼女は長い間病気療養で地方にいて、最近東京に引っ越してきたらしい。
体が弱いので、激しい運動はできないけれど、学校に通うのには支障はない。
でも、東京のことや、学校のことはわからないから、みんな仲良くして教えて欲しい、とのこと。
なんだか色々と複雑な子のようだ。
「慣れるまでは、学級委員に色々と手伝って、
「その必要はねぇ。」
もらいなさい、と続くはずだったのだろう、先生の言葉を絶ち切ったのは跡部くんだった。
教卓まで堂々と歩み寄って、美濃海さんの前に立つ。
「妃芽花って言ったな。お前の面倒は、俺がみてやるよ。」
だから、学級委員の世話なんていらない、と言わんばかりの態度に、教室の空気がざわめく。
そりゃあ、そうだ。
だって今まで、跡部くんに特別扱いされる女の子なんていなかった。
一応、定期的に彼女は入れ替わるけれど、それはみんな女の子の方から言い寄って、半ば強引に付き合ってもらっていたようなもの。
跡部くんからこうやって手を差し伸べるのは初めてだ。
「ありがとう。えっと…」
可愛らしく小首を傾げた美濃海さんに、ニヤリと笑って跡部くんは名乗った。
「跡部景吾。生徒会長で、テニス部部長だ。」
まるで少女漫画のような、ドラマティックな出会い。
けれど、何か違和感を感じるのは私だけなのだろうか。
跡部くんのファンの女の子たちはどう想っているのだろう、と教室中を見回す。
きっと、不機嫌になっているのだろうな、という私の予想を裏切って、女の子たちはみんな、当然の事のように二人を見ていた。
確かに美濃海さんは、そんじょそこらの女の子なら諦めてしまうような、そのくらいの可愛さをもっているけれど。
でも、いくらなんでも昨日まで跡部くん、跡部くんと騒いでいた女の子たちが、こんなにすぐに納得できるものなのだろうか。
教室内が急に知らない人たちの集まりに思えて、背筋がぞっとした。
Reflection
とうとう、妃芽花さんが氷帝にやってきました。
異変を感じる楓ちゃん。
徐々に、物語は進行していきます。
REPLAY
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