あたりまえが幸せ









「あの…私に何か?」


「…。」


先程から目の前の女の子に見つめられていて、とても居心地が悪いです。





001:事件は何処で起きた 







「やっぱり目も大きいし髪もサラサラ!美人さんだよね、さん。」


「…ありがとう?」


私の顔をじーっと眺めていたかと思うと、突然いただいたお褒めの言葉。


「えーっと…どうもはじめまして、です。それで、申し訳ないけれど、あなたのお名前は?」


相手は私のことを知っているようだけれど、残念ながら私は彼女に心当たりがない。
とりあえず名乗ってもらうには自己紹介からだろう、と声をかけた時。


「あれ?楓?」

「あ!潤!」


どうやら、黒木くんのお知り合いらしい。


◇◇◇


「さっきはいきなりごめんね?はじめまして!木崎楓と申します。」

「黒木潤です。」

「なぜ黒木くんまで自己紹介をしたのかわからないけれど、改めましてです。楓ちゃんって呼んでいいかな?」

「もっちろーん!私もちゃんって呼ばせて頂きまーす!」


そう言ってにっこり笑った楓ちゃんは黒木君の彼女さんらしい。
黒木くんに彼女がいることは知っていたけれど、なんとなく変わった子をイメージしていたので、普通に明るくて元気な女の子でびっくり。
…黒木くんには失礼ですが。


「潤からお話聞いてて、しゃべってみたいなぁ、って思ってたんだけど機会がなかったから、会いに来てみちゃいました!」

「楓、は女子の友達が極端に少ない可哀想な子だから仲良くしてあげるといいよ。」

「ちょっと黒木くん、もう少し言い方を考えてください。」

「え?でも事実でしょ?」

「オブラートに包む、って知ってる?」

「粉薬飲むの得意だから使ったこと無い。」


…基本的にいい子なのに、ときどき憎たらしくなるのが黒木潤である。
ここは彼女である楓ちゃんに収集をつけてもらえるかもしれない、と期待して視線を送ったのですが。


「うわぁ…!ちゃんすごい。潤と会話のキャッチボールができてるよ…!もしかして…ちゃん潤のこと…すき…とか…?」

「え…。そうだったの?知らなかった。でもごめん、。俺にその気はないんだ…。」

「私にもそんな気無いよ…。これまでもこれからも絶対にないよ…。」


…訂正。楓ちゃんはじゅうぶん面白い子だった。
それに悪ノリしてくる黒木くん。
しかしこんな時でも表情は基本的に無表情だから面白い。
この彼氏にして彼女ありと言いますか、相性が良いのが出会って10分でわかりました。



「…ちょっ…ちゃん面白い…!もうこれは是非親しいお友達になりたい…!」


なんだか楓ちゃんに気に入られたらしく、メールアドレスを交換することに。

よくよく考えたら、確かに那智先輩以外に休日に遊んだりメールのやりとりをしたりするほど仲の良い女の子となるといないわけで。
中身が反則なので、私はそれで構わないのだけれど、確かに客観的に見ると可哀想なのかもしれない。


…黒木くんなりに気遣ってくれたのかなぁ、なんて少しありがたく思った。



「ということで今度の週末、早速デートしませんかちゃん!」

「デート?」

「アウトレットに服を買いに行くの!」

「えー。俺はー?」

「潤はテニス部の練習があるでしょ!」

「…この恨み、忘れないよ、。忘れない。」


…気を遣ってくれたのだと信じたいので、とりあえず無表情で睨むのをやめてください。














Reflection


ようやく登場させられました、楓ちゃん!
しかし読み返すとキャラが全く登場していませんでした。
名前すら無いなんてなんたること。
申し訳ない…。

REPLAY
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