呆気ない終焉、唐突な幕開け。







Q.人間は死んだら何処に行くと思いますか?



A.死後の世界など信じません。


001:ゴールテープは幻だった










人間、生きていれば何があるかわからないとはよく言ったものだ。

とりあえず胸を張って言えるのは、私は何も悪くなかった。

既に諦めの境地に入った私は、本来ならば反対車線を走っているはずのトラックが
蛇行しながら突っ込んで来るのを何処か他人事のように眺めていた。








思い返せば平凡な人生だった。


やり残した事はあまりに多い。


買ったまま読んでいない本が少なく見積もって10冊はあるし、値札がついたままのワンピースも一度着ておきたかった。

生まれてこの方告白されたことはそれなりにあったが結局一度も誰とも付き合わなかった。

両親と妹は泣くだろうし、高校時代からの親友たちは怒るだろう。

きっと蛇行運転のトラック運転手は生き残ったとしても碌な人生になるまい。

まぁ、死んだことは残念だが今さら恨んだところで仕方がない。

もしも死後の世界で出会ったら一発くらい殴っても文句は言えないだろう。

ただ、相手の顔も名前もわからないのが問題ではあるけれど。












というわけで、私の人生は衝撃的なフィナーレを迎えたはずだったのに。











気が付いたら私は白い部屋の白いソファに座っていました。

(病院のはずは無い。だってあれ、確実死んだ。)

今まで散々馬鹿にした死後の世界というヤツなのか。とにかくすぐに楽にはならないらしい。








「初めまして。さん。」








突如、何もなかった筈の空間から現れた男はにっこりと笑う。

日本語を喋っているが容姿はどう見てもモンゴロイドのそれじゃない。

果たして私は天国と地獄どちらに連れて行かれるのか。











「おめでとうございます。今回あなたはおよそ50人の候補の中選ばれました。」





「それは一体何にですか?」







貰える物は病気と不幸以外は貰っておけ、を信条として育った身としては非常に心擽られる話だけれども、面倒な役職とかへの『ご当選』ならば一身上の都合でお断りしたい。


しかし男の答えは私の予想の遥か斜め上をマッハのスピードで突っ切った。












「NOVAの被検体です。簡単に言うとあなたにはパラレルワールドに転生し直してもらいます。」


















うん。もう一度お願いします。





























Reflection



うちのヒロインはしっかりした子です。

序盤は説明だらけになると思いますがお付き合いくださいませませ。





REPLAY
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