俺が新学期からの自分の身の振り方を考えている間に、なんだかややこしいことになったらしい。
相変わらず要領を得ないカペラのグダグダ説明をまとめると、『登場人物』たちに好かれるような補正をかけ、こちらの世界の少女に憑依した同郷(世界的な意味で)の人間を探して欲しいらしい。
「ひとつだけ違います!少女とは限りません!」
「…でも、『登場人物』に好かれるように補正をかけてもらおうとするなら、女の子じゃないのか?」
「世の中には、男性同士の恋愛を好む女性もいるのですよ、涼丞さん。」
「…あー。友達に一人いたわ。そういう子。」
たまに男から聞くより酷い下ネタに付き合わされることに目を瞑れば、知識の範囲がやたらと広くて話していて楽しかったが。
「なので、老若男女問わず、怪しい人間を探してください。」
「わかった。で、見つけたらどうすればいいの?」
「何もしなくていいです。こちらの準備が整ったら、また涼丞さんに会いに来ますので、その時に教えてくれればオッケーです!」
そして、目指せ犯人八つ裂きの刑です、と怖いことを言うカペラにとって、今回のことは相当腹立たしかったらしく、いつにも増してよく喋る。
これはチャンスだ、と踏んだわけでして。
「注意して見とくよ。…けど、こういうのはαと手分けしたほうが早いと思うけど。連絡が取れない、誰か知らない、ってこういう時不便だよな。」
少しずつ揺さぶっていく。
「立海には友達ができたからいつでも調べられるし…東京に行こうかな。」
「うーん…じゃあ、涼丞さんは青学を調べてください!ちょうど、主人公の入る学校だし、越前リョーマとの接触も可能ですので。」
「リョーマね。考えとく。」
「はいっ!…あぁぁ!もうこんな時間!そろそろ一つめの解析が終わってる頃なので、失礼しますね。よろしくお願いします!」
慌ただしいカペラの退席とともに、夢から醒める。
とりあえず、カペラとの会話から得た情報で、今後の方針が立てられそうなのは良いのだけれど。
「…全然眠った気がしないんだが。」
今日は一日、睡魔と戦うことになりそうだ。
Reflection
さて、涼丞にもNOVAから司令が下ったわけですが、相変わらず説明下手なカペラちゃんです。
そして涼丞も中身は大人の男なので、この機にできる限りカペラちゃんから情報を奪います。
REPLAY
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